メダカを飼育して繁殖させていると、背骨が曲がっている「背曲がり」や頭が落ちている個体、ヒレが癒着している個体が生まれてくることがあります。あなたは、こうした個体で採卵していませんか?

こういった個体を親にして累代すると、その形質が子に遺伝しやすく、場合によっては状態の良い個体が半分も生まれない・・・ なんてことも。だから、そうならないように親選びは、厳しく行う必要があります。

写真は五色RLFの種親。下の個体は頭が下がっている

とくに光体形の品種や系統から背曲がりが誕生しやすいので注意が必要です。頭が落ちている個体は、黒い体色をした品種や温州三色などから生まれやすい傾向にあると感じて舞います。(もちろん系統や血筋によるので、一概には言えません)。光体形ほど発現率は高くありませんが・・・。

こう聞くと光体形の飼育はやめておこうかな・・・となる方もいるかもしれません。実際、僕もメダカの飼育を始めたばかりの頃は、光体形のメダカは敬遠していました。

しかし、それは少しもったいなかったな・・・と今になっては感じています。だって光体形には、普通体形にはない魅力があるから。背曲がりがなく、上下のヒレのバランスの美しい個体に出会った時の感動はかなりのものです。

昨年は光体形のメダカにチャレンジするようになり、現在は7種類の品種を飼育しています。

一年ちかく光体形のメダカを繁殖させて感じたのは、体形の崩れやすさは「品種というよりも血統に左右される」ということ。

同じ光体形のメダカでも、品種によって体形の崩れやすさは大きくことなります。たとえば、岡山県のブリーダーさんが作出した風月。乙姫に天女フレアーを交配することで誕生した光体形の品種ですが、ほかの品種と比べて背曲がりがかなり生まれづらいと感じました。筆者は一年飼育し、5世代の累代を進めましたが、背曲がりは1~2割に収まっています。これは、「作出者のブリーダーさんが厳しい選別を繰り返した」かつ「そのブリーダーさんから直接購入した血統だから」という点も大きく関係していると思います

大切なのは、子どもの数をたくさん採って、厳しく厳しく選別すること。自分の基準を設定したら妥協せず、それに従うことです。

背曲がりをどこまで許容するのか

上下のバランスは良さげだが、尾びれの付け根が曲がり下に落ちている。親にはできない・・・

では、どこまで光体形の崩れを許容するのか。実際、光体形のメダカを飼育している人は、この親選びに苦労した経験を持っているのではないでしょうか。ここまで聞いて「やっぱり光体形難しいやん・・・」と感じた方もいるでしょう。しかし、そこまで堅くなる必要はありません。基準は飼育者である自分が決めればよいのですから。

自分は、「少し骨が曲がっていても全体のバランスを優先させたければそれも良し」ならそれが正解です。「一切の崩れも許したくない!!」というのも正解です。

もちろん、これは一愛好家であればの話です。自分の繁殖させたメダカを販売したい・・・というのであれば、背曲がりの個体をいかに減らすかが重要となります。

「たまたま背中の良い個体が生まれたから販売しよう!(でも親は骨がぐにゃぐにゃで背曲がりがひどいんだけどね)」は、販売者としては失格。親がきれいな背骨をしていても、背曲がりが出やすい血統というのは、お客さんにとって失礼ですし、生まれてくるメダカたちにとっても不誠実です。

筆者の場合、透明な容器に入れて日光を当てながら背骨の状態を確認して、選別を行います。筆者の場合hあ、この写真のように骨が伸びている個体を親しています。思うような個体が生まれず、こうした親を組めない場合は、信頼できるブリーダーさんから新たに親を購入することもあります。

採卵を進めると背曲がりする個体も

種親として一年以上活躍している個体。光体形で産卵も経験しているのに、ここまで体形を維持できているのは凄い。

最初はよかったのに採卵するうちに体形が崩れていった・・・なんてことも頻繁にあります。筆者の場合は、ひと品種当たり3ペアの親をセットするようにしています。そしてワンペアずつ容器を分け、卵も混ざらないように管理します。採卵を続けていると体形が崩れだす個体が生まれます。そうした個体を発見したら、そのペアからの採卵はやめ、残りの種親からのみ採卵を続け、最後まで体形を維持できた血統を維持するのです。

骨はまっすぐでも体色が満足いかない・・場合も

「産卵しても体形が崩れにくい」を遺伝として残していく。簡単なことではないですし、偉そうにいっている筆者自身まだまだ実現できているとは言い難いのが現状です。しかし、この方法を繰り返すうちに、体形崩れをしている個体の発現率は下がっているように感じます。

とはいえ、私個人のこだわりなので、これが正解というわけではありません。選別基準や方法は飼育者次第です。この方法が正しいとは思っていませんし、もっと良いやり方もあるはずだと考えています。こうした自分ならではのこだわりや方法を模索していくことが、品種改良メダカの醍醐味です。光体形のメダカを飼育したことがない方は、ぜひ参考にしてみてください。そして既に飼育している方は、ぜひご自身のこだわりを教えてください。

最後に皆さんは、どこまで体形の崩れを許容しているでしょうか。ちなみに筆者は、右側の個体がぎりぎりの許容ラインかなあ・・・と感じます(個人的意見ですよ!)。